⑧2018年10月21日(日)  『メンタライゼーション』

メンタライゼーションに基づく治療(MBT)

~外傷的育ちを生きてきた人の〈心を見わたす心〉を育てる~

講師:崔 炯仁



Fonagy P., Bateman A.らが境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療法として提唱したのが

「メンタライゼーションに基づく治療(Mentalization-based Treatment, MBT)」です。

メンタライゼーションとは「自己・他者の行動を、心理状態(欲求・感情・信念)に基づくものとして理解すること」を意味します。

MBTは他の治療法との併用可能性など大きな広がりを持っており、対象もBPDだけでなく外傷的育ち(虐待や過度の支配など過酷な養育体験)の影響を受けた種々の精神疾患(うつ病、解離性障害、嗜癖、摂食障害など)に治療の幅を広げることができます。

今に焦点づけ、本人が治療者との間で<自己と他者の『心』を見わたす心>を育て、

感情を調整する力を伸ばしていくMBTの基本技法について概略を紹介します。

 

★参考テキスト

・崔炯仁(2016)『メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服 <心を見わたす心>と<自他境界の感覚>をはぐくむアプローチ』星和書店

・Bateman A. & Fonagy P., Psychotherapy for Borderline Personality Disorder: Metalization-Based Treatment. Oxford University Press, New York, 2004. (狩野力八郎,白波瀬丈一郎監訳(2008)『メンタライゼーションと境界パーソナリティ障害:MBTが拓く精神分析的精神療法の新たな展開』岩崎学術出版社)

・上地雄一郎(2015)『メンタライジング・アプローチ入門―愛着理論を生かす心理療法―』北大路書房

メンタライゼーションと対人関係論

講師:山本 雅美



「メンタライゼーション」とは、自分そして他者のこころの状態をありのままに認め、

このような認識を自分の感情を適切にコントロールしたり、人と関係をうまく調整したりするために用いることができる能力のことである。

愛着理論や乳児研究はこの能力の発達に母親(世話役)と赤ん坊という早期の二者関係がかかわることを指摘する。

これは精神分析理論(例えばフェレンツィ、クライン、サリヴァン、ウィニコットなど)が提唱してきたところでもある。

本講義は乳児研究を踏まえた発達論と精神分析理論をつなぐこの古くて新しい概念がどのように臨床実践に役立つか、事例を用いて検討する。

対人関係論との関連についても述べる予定である。

 

★参考テキスト

・上地雄一郎(2015)『メンタライジング・アプローチ入門―愛着理論を生かす心理療法―』北大路書房