第6回
日時:2021年12月19日(日) 10:30-16:30
自閉スペクトラムは社会性の困難と考えられているため、こころの出会いが難しいと思われがちであるが、セラピストたちは出会いの瞬間に恵まれることが少なくない。しかし、そのこころの出会いが、クライエントにとっては自身の脆弱性に気づくような体験となるために、躁的防衛、強迫、迫害感などを高めやすい。それがセラピーの危機へとつながりやすいために、セラピストは対応に苦慮することとなる。本講義ではクライン派精神分析理論を参照し、自閉心性を有するクライエントがどのように他者を体験しているかについての考えを紹介することで、セラピスト-クライエントの相互性についてフロアの皆様との議論していきたい。
参考文献:松本拓真著『自閉スペクトラム症を抱える子どもたち―受身性研究と心理療法が拓く新たな理解』(金剛出版)